前の日のエントリの続き

とりあえず気がついたところを。他にもたぶんあるんでしょうけど、自分が気づいた範囲で。間違いが無いとは言い切れません。

簿記

1.総勘定元帳を作るというのは現行の話。例えば行列簿記という別の簿記の記帳方法を考えてみると、必ずしも簿記を説明する上で総勘定元帳が必須な要素ではないはず。下の3.ともかぶるけれど、簿記の説明としては変。

2.一般に簿記の説明をするときには、支出とか入手とか言う言葉を使わずに、簿記の五要素(収益・費用・資産・負債・資本)の増加や減少で説明をする。言葉の使い方の問題だけれど。

3.この「簿記とは」という文章はよく読むと、「簿記をする目的」と、「単式簿記の問題点」についてしかかかれていない。簿記そのものの説明としてはピントがずれている。

会計

4.この文章は全体的に財務会計の話になっている。本来の会計の意味よりも狭めた言葉の説明になっている。

5.

減価償却費を定率で行うか定額で行うか」、

という表現はちょっと変だ。「減価償却の方法として、定率法を採用するか、定額法を採用するか」の方がよい。

6.

棚卸資産を原価法で行うのか低価法で行うのか、」

は現在の基準(「棚卸資産の評価に関する基準」*1 )ではない。低価法という概念はもうなくなった。

7. 石油業界の話に移る。平均法の話は大雑把過ぎる。それと、払出単価の計算をしているような説明にも聞こえる。(棚卸資産の評価とは少し違う)原価という言葉よりも売上原価、もしくは費用と書いて欲しい。収益は上がらずに「利益」が上がる。

8. 会計とは経営者による関数という言葉ははじめて聞いた。(「会計とは記録と判断とそして慣習の総合的産物」という言葉は旧監査基準の前文に書かれていた言葉。指摘には直接の関係はないです。)

財務

9.この項の話はキャッシュフローの説明(としてもはしょった感じがあるけれど)になっている。財務はもっと広い概念。

10.

P/Lは「収益−費用」で計算されます。ですが、この売上と費用は現金が入出する段階ではなく商品を販売した時点及び仕入れた時点で計上します。発生主義ってヤツですね。

まず、商品を仕入れた時点で費用は発生するが、それは収益と対応する費用ではない。それと商品を販売した時点で収益を認識するのは「発生主義」ではなくて、「実現主義」。現行の会計基準では実現主義が収益の原則的な認識基準になっている。(発生主義で収益を認識する場合もある。いわゆる長期請負工事がその典型)

11.費用と収益の対応関係がこの説明だとあやしい。

12.『P/Lは「収益−費用」』というのは一般に経常損益計算までの話。P/Lはさらに特別利益や特別損失も含むので、「原則的には」とか「大まかには」と入れたほうが無難。

13.「売上と費用」という言葉は「収益と費用」です。

14.

会社ってのは収益が赤字だろうが資金繰りが回っていれば存続可能です。逆に言えば収益が黒字でも現金不足で不渡りで倒産、いわゆる黒字倒産という現象が起こります。

(法律上は)資金繰りが回っていなくとも存続は出来たりするけれど、実務上はその通り。