修繕引当金の例

修繕引当金の場合はどうなるか?

商業簿記の場合、修繕引当金は普通期末にてきとーに見積もって計上しておく。そして次期の期末において当期に発生した修繕費との差額分を差額補充しておく方法もあるし、洗い替える方法もあるのだろう。このあたりはあまり深く突っ込まず、貸倒と同様に考えれば良い。どちらの方法にしろ、商業簿記の考え方では、引当金の計上処理は期末に行うと考えれば特に問題ない。

工業簿記の場合、なるべく早く原価に振り替えたいという意図があるので、期首に見積もってしまう。そして修繕引当金を月割計算して(修繕費と同じように)間接経費に振り分けてしまう。これも減価償却費の期首の予算と同様に実際には仕訳は切られない。

  間接経費  XXXX / 修繕引当金  XXXX

さらに製造間接費に振り替えて最終的には製品へと持っていく。

  製造間接費  XXXX / 間接経費  XXXX
  仕掛品  XXXX / 製造間接費  XXXX
  製品  XXXX / 仕掛品  XXXX

販売したら売上原価になる。

  売掛金  XXXX / 売上  XXXX
  売上原価  XXXX / 製品  XXXX

では修繕費はどのように処理されるのか?

修繕費は実際に「修繕費を払った」タイミングで修繕引当金を取り崩すことで処理される。修繕費を払った仕訳は、

  修繕費  XXXX / 材料や労務費、経費等  XXXX

で、それを引当金に振り替えるイメージである。(ここで取り崩される引当金は前期以前に積み立てたものであることに注意。)

  修繕引当金  XXXX / 修繕費  XXXX

つまり修繕引当金が修繕費の予定配賦のような役割を担っているわけだ。

修繕費の実際支払額が多く、予定額である引当金では足りずに、足が出た場合にはどうなるか。期中で引当金以上の修繕費を計上した場合には、引当金は既に残高はゼロなので、

  原価差異  XXXX / 修繕費  XXXX

となる。他の原価差異の処理と同じように、期末に原価差異の部分を売上原価に直課したり多額の場合には製品と仕掛品に按分したりする。

  売上原価など  XXXX / 原価差異  XXXX

逆に引当金額が多く、修繕費が引当金内で納まった場合にはその額を取り崩すか、あるいは次期の引当金へと割当るかのどちらかを選択するのだと思う。

修繕引当金自体は、減価償却費のように毎回出てくる勘定科目ではないので、あまり気にしないで「そんなものか」と流すのが賢明な気がする。