くだらねー

持たない暮らし (中経の文庫 し 3-1)

持たない暮らし (中経の文庫 し 3-1)

今年72歳*1になる著者は、冒頭で絵と椅子と音楽と猫と空があれば良い、といいながらも、それ以後でいろいろ矛盾を書き連ねていくので、とてもうさんくさい。「持たない暮らし」という題名で、しかもこの導入なので、もっとどう「ものを使いまわすか」とかいう話が続くのかと思っていたが、そうではない。

いろいろブランドの話とかが続いて、その部分は自分には前提知識が無いのでわからないが、唯一この著者のスタンスがわかったのは、ノートパソコンの記述からだった。著者のノートパソコンはソニーの製品(P174)らしいが、その製品を選んだ理由は、「画像がきれいだから」という理由らしい。その5行後で「もの書きなので、検索用のインターネットと、原稿を書くという目的にかなったものがいい」という記述がある。どう考えてもその目的ならば別のメーカーでも良いんじゃないかと思うが。

実家は世田谷にあって(P206)、普段はマンションで暮らしている(P49)。そして軽井沢の山荘で簡素な生き方の練習をしているらしい(P18)。どこが「持たない」なのかよくわからない。せめて「持たない暮らし」ではなくて、「抑えた暮らし」とか、「背の丈にあった暮らし」とかいう題名ならばわかるのだが。それか副題として「ふざけたタイトル」と入れていただきたい。「持たない」って言うのはガンジーが死んだときには手元にはズタ袋しか持っていなかったとか、そういうレベルで初めて言える表現だと思う。というわけで著者には豆腐の角に頭をぶつけて頂きたい。

*1:1936年生。「欲しがりません勝つまでは」「贅沢は敵だ」というスローガンが響く戦中を生きた世代。