Wikipediaの会計のページ

が話題になっているらしいので見てみたけど、これは充実はしているけれど……。そもそも、Wikipediaは百科事典であるから、総論的に簡潔に書かれている。なのであまり自習向きにわかりやすくかかれているわけでもないし、その内容が保証されているわけでもないし、Wikipediaであるがゆえに、ある項目はむちゃくちゃ詳しいのに、別のある項目はとっても内容が少ない、なんて状態でおすすめできないなあ。そもそも「Zope」に詳しい人*1」が「Wikipedia*2」を「会計について充実*3している」と評しただけなんだけどね。タイトルと内容で別のことを言っているという指摘がまだないみたいだ。

これだけ書くとちょっとなので、一例をあげると、

の最後の方にある経営指標の話はどちらかというと財務諸表分析の話であって、貸借対照表のところで説明するよりも、財務諸表分析という項をたてて説明すべきだ。一方で、

貸借対照表と比べてかなり内容が少ない。こっちにはROEとか売上高回転率とか、損益計算書と関連がある経営指標についての記載がない。ちょっとちぐはぐ。すこし話は変わるが、動態論と静態論の歴史的な説明はどちらにも無い。(リンクも無いみたい)

損益会計において重要な概念である費用収益対応の原則についての説明は、

となっていて、これを初学者が読んで内容が理解できるのかというと、ちょっとあやしい。さらに、

の内容は実務家も知らないような歴史の話がずらずら並んでいる。学者になりたいならば知っている必要があるかもしれないけど、会計士や税理士、経理について知りたいのならばまず必要ない。(会計を経済的な見返りをまったく期待しないで趣味的に勉強するのならば知っていても良いと思う)

まあ、よく考えてみると、自分がまったく知らない分野を勉強するのにいきなり百科事典を読み始めるのだろうか、という点に帰着する。それと、「会計」という言葉自体がむちゃくちゃ広い*4ので、具体的にどこのあたりを知りたいのかによってもアプローチはかなり変わって来てしかるべきだ。

さらに、会計自体が単体で存在しているわけではなくて、税金の話(税務)と法律の話(法務)が密接に関連していることがあるので、とりわけ実務レベルの話になるとWikipediaではまだまだ正直話にならない、といえると思う。(そして、Wikipediaがそれくらいものすごい情報集積場になる可能性は会計や税務、法務に関しては極めて低いと思う。)

話はわかるけど、奥村先生の

を読んで、ちょっと情報(数学)系もあやしいのが多いのだろうな、と思っているけど、自分は専門外なのでよくわからない。Wikipediaの理念は、もしかしたら永久機関みたいに人類の夢で終わってしまうような気がする。

*1:これが磯崎先生とか税理士の方とか、会計の専門家ならまた別だけど

*2:前述したように百科事典であって、参考書や教科書ではない

*3:内容については何も言及していない

*4:財務会計管理会計税務会計公共法人会計、環境会計、建設業会計etc... 単に「簿記」のことをそう言っている場合もある。たとえて言うと、プログラミングを学ぶって言っているようなものだ。それってどの言語なの?